越境している家は売れる?屋根や塀のトラブルと対処法を解説
2026/10/03
隣地との越境がある家を売る方へ、越境の確認・覚書・是正の要否と売却をスムーズに進める方法を解説
隣の家の屋根の軒先が、うちの敷地にわずかにかかっている。あるいは、自分の家の塀が境界線を越えて隣に入り込んでいるかもしれない。売却の話が具体的になり、測量をして初めて越境に気づく、というのは名古屋の現場でも本当によくあることです。「越境があると売れないのか」「隣とトラブルにならないか」「壊して直さないとダメなのか」。こうした不安は、正直なところ、多くの売主が通る道です。ただ、越境は適切に処理すれば売却の障害にはなりません。大切なのは、放置せず、隣地と書面で関係を整理しておくことです。この記事では、越境の確認方法、覚書の役割、是正が必要なケースの見分け方、そして売却をスムーズに進めるための段取りを、具体的に整理します。
【この記事のポイント】
- 越境があっても、覚書を交わせば多くの場合そのまま売却できる
- まず測量と境界確定で、何がどれだけ越境しているかを正確に把握する
- 是正が必須か覚書で足りるかは、越境物の種類と隣地との関係で変わる
この記事の結論
- 越境している家でも売れる。多くは撤去せず覚書で対応できる。
- 放置が最も危険。売却前に測量・境界確定・覚書を整えるのが基本。
- 迷ったら、まず越境の有無と内容を測量で確認するところから動く。
越境とは何か、まず確認すべきこと
越境には「する側」と「される側」がある
越境とは、建物や塀、樹木の枝、給排水管などが、境界線を越えて隣の敷地に入り込んでいる状態です。自分が隣にはみ出している「越境する側」と、隣がこちらに入り込んでいる「越境される側」の両方があり得ます。実は、古い住宅地では両方が同時に起きていることも珍しくありません。名古屋市内の築古戸建てでは、こちらのブロック塀が数センチ隣に越境し、同時に隣家の屋根がこちらの上空に張り出している、という相互越境のケースがよくあります。まずは自分の家がどちらの立場か、両方あるのかを見極めることが出発点です。
測量と境界確定で正確に把握する
越境を疑ったら、まず土地家屋調査士による測量で、境界の位置と越境の範囲を正確に測ります。登記上の面積と実測が食い違うこともあり、目分量では判断できません。境界標が見当たらない、あるいは隣と認識がずれている場合は、境界確定測量で隣地所有者の立会いのもと境界を確定します。この境界確定は、越境処理の土台になるだけでなく、買主に安心して買ってもらうためにも重要です。ケースによりますが、境界が未確定のままだと買主が慎重になり、売却が長引きやすくなります。
越境物の種類ごとに影響を確認する
越境物には、屋根・軒・雨樋・塀・擁壁・樹木の枝・地中の配管などがあります。屋根や軒のように是正が難しいものもあれば、樹木の枝のように比較的対応しやすいものもあります。地中の給排水管が隣地を通っている場合は、将来の修繕時に隣地の掘削承諾が必要になることもあり、これも書面で整理しておきたい点です。国土交通省の関連指針でも、こうした相隣関係のトラブルを未然に防ぐため、書面での取り決めが推奨されています。越境物ごとに影響度が違うことを理解しておくと、対応の優先順位が見えてきます。
地中の配管越境は見落とされやすい
目に見える屋根や塀の越境は気づきやすい一方で、実は見落とされがちなのが地中の給排水管の越境です。自分の家の排水管が隣地の地下を通っていたり、逆に隣家の水道管がこちらの敷地を通っていたりするケースは、古い住宅地では意外と多くあります。地中のことなので普段は問題になりませんが、いざ配管の修繕や引き直しが必要になったとき、隣地を掘削する承諾が得られず工事が止まる、という事態が起こり得ます。名古屋市の築古戸建てでも、売却直前の調査で排水管が隣地を経由していることが判明し、買主が「将来の修繕が不安だ」と難色を示した例がありました。このときは、隣地所有者と掘削承諾に関する覚書を交わし、将来の修繕時に協力する旨を書面化したことで、買主の不安が解消され契約に至りました。越境の確認は、屋根や塀といった地上部分だけでなく、地中の配管まで含めて行うことが、後々のトラブルを防ぐ鍵になります。図面が残っていない場合は、現地調査で配管の経路を確認しておくと安心です。
判断に迷ったら、名古屋市不動産売却相談センターの無料査定で、越境の有無と売却への影響を整理するところから始める方も多いです。
越境への対処法と、売却をスムーズにする段取り
よくある失敗、越境を伝えずに売って後で紛争になる
よくある失敗は、越境の存在を知りながら買主に伝えずに売ってしまうことです。後で発覚すれば契約不適合責任を問われ、契約解除や損害賠償につながる可能性があります。もう一つの失敗は、隣地との関係を書面で残さないまま口約束で済ませてしまうこと。当事者同士が元気なうちは問題なくても、相続や売買で持ち主が代われば、「そんな約束は知らない」と蒸し返され、越境物の撤去を求められることもあります。正直なところ、越境そのものより「書面がないこと」がトラブルの火種になるケースが目立ちます。当事者の記憶だけに頼っていると、代替わりのたびに解釈が揺らぎ、些細な越境が近隣関係のこじれに発展することもあるため、合意はその都度きちんと文書に残しておくのが安全です。
失敗しない判断基準、是正か覚書かを見極める
対応を選ぶ判断基準は次の3〜4点です。第一に、越境物の是正が物理的・費用的に現実的か(建物本体は難しく、塀や枝は比較的容易)。第二に、隣地所有者と良好に話せる関係か。第三に、買主が越境を許容するか、金融機関の融資に影響しないか。第四に、将来の建て替え時に是正する取り決めで足りるか。多くのケースでは、「現状は撤去せず、次に建て替える際に越境を解消する」という内容の覚書を交わすことで、売却は問題なく進みます。すべてを今すぐ壊して直す必要はない、という点は知っておくと安心です。
比較検討した人が確認したこと、覚書の中身と隣地の協力
実際に売却を進めた方が確認していたのは、「覚書にどこまで書き込めるか」でした。名古屋市千種区の事例では、隣家の屋根がこちらの敷地に越境していましたが、隣地所有者と話し合い、(1)越境の事実を相互に確認、(2)現状は撤去を求めない、(3)将来の建て替え時に是正する、(4)この合意は所有者が代わっても引き継ぐ、という内容の覚書を交わしました。買主に「越境は書面で解決済み」と示せたことで、融資も通り、契約は円滑に進みました。「隣も同じ悩みを抱えていて、話してみたら協力的だった」という声が印象的でした。比較検討した方の多くは、まず隣地に相談できる関係かどうかを確認しています。
売却前に境界確定まで進めておくメリット
越境の処理と切り離せないのが、境界確定です。比較検討した方の多くが、売却をスムーズに進めるために、あらかじめ隣地所有者の立会いを得て境界を確定させ、確定測量図を用意していました。境界が確定していると、越境の範囲が客観的に示せるうえ、買主は「引き渡し後に隣とトラブルにならない」という安心を得られます。名古屋市名東区の事例では、売り出し前に境界確定と越境の覚書をセットで整えたことで、内覧に来た買主から「ここまで準備されているなら安心だ」と評価され、価格交渉でも大きく値引きを求められませんでした。一方、境界も越境もあいまいなまま売りに出すと、買主が測量や交渉のリスクを価格に織り込もうとし、結果的に安く買い叩かれることがあります。確かに境界確定測量には費用と時間がかかりますが、その一手間が売却価格を守り、契約後の紛争を防ぐ保険になる、と考えるオーナーが多い印象です。相続した家など経緯が分からない物件ほど、早めに境界と越境を整理しておく価値があります。
よくある質問
Q1. 越境があると家は売れませんか?
A1. 売れます。多くの場合、越境物を撤去しなくても、隣地との覚書を交わすことで売却できます。大切なのは越境を隠さず、書面で関係を整理しておくことです。
Q2. 越境物は必ず撤去しないといけませんか?
A2. 必須ではありません。建物本体など撤去が難しいものは、将来の建て替え時に是正する旨の覚書で対応するのが一般的です。塀や樹木の枝など容易なものは是正する場合もあります。
Q3. 覚書には何を書けばよいですか?
A3. 越境の事実確認、現状の扱い、将来の是正時期、承継の取り決めなどを記します。所有者が代わっても引き継ぐ内容にしておくと、後のトラブルを防げます。専門家の確認が安心です。
Q4. 隣地が越境の話し合いに応じてくれない場合は?
A4. まず測量結果など客観的な資料を示して丁寧に説明します。それでも難しい場合は、専門家を介した交渉や、状況によっては法的手続きも検討します。焦らず記録を残すことが大切です。
Q5. 越境があると住宅ローンは使えませんか?
A5. 越境があるだけで一律に使えなくなるわけではありません。ただし金融機関によっては覚書や是正の確認を求めることがあるため、事前に境界と越境を整理しておくと審査が円滑です。
Q6. 境界標がない場合はどうすればよいですか?
A6. 土地家屋調査士による境界確定測量で、隣地所有者の立会いのもと境界を確定します。境界が確定していると越境の範囲も明確になり、買主も安心して購入を検討できます。
Q7. 相続した家に越境があった場合も同じ対応でよいですか?
A7. 基本は同じです。ただし過去の経緯が分からないことが多いため、まず測量で現状を把握し、隣地と改めて覚書を交わすところから進めます。2024年から相続登記も義務化されているため、建物や土地の名義変更も忘れずに行いましょう。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 越境があっても、覚書を交わせば多くの場合そのまま売却できる
- まず測量と境界確定で、越境の内容と範囲を正確に把握する
- 是正が必須か覚書で足りるかを、越境物と隣地の関係から見極める
越境は、放置すれば不安の種になりますが、正面から向き合えば解決できる問題です。まずは測量で現状を確かめ、隣地と書面で関係を整理するところから始めてみてください。屋根や塀といった目に見える部分だけでなく、地中の配管まで含めて確認し、境界確定とセットで覚書を整えておけば、買主も隣人も安心して取引に臨めます。越境を「隠す」のではなく「整える」ことが、スムーズな売却と、双方の信頼につながります。
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